近年になって「問題行動」という言葉をよく耳にするようになりましたが、純粋な意味での問題行動というのはそれほど多くはないものです。一般に言われる無駄吠えや引っ張り癖、人への飛びつき、留守番中のイタズラなどは犬にしてみれば習性や本能から出るごく自然な行動であり、それを飼い主が困った、望ましくないと思うことで初めて問題行動と呼ばれるものになってしまうのです。こういう類いのものは正しく言うなら、問題行動というより困った癖といったところでしょう。
それに対して自分の体を被毛が抜けるまでしつこく舐め続けたり、意味もなく同じ行動を何回も繰り返したり(常同行動)、強度の不安があって自然に行動できない、人に対して強度の攻撃意識があるというような明らかに異常と思われるものは問題行動として扱われます。これらの問題の場合には専門的な行動治療が必要になることがあります。
困った癖を直したい場合には経験と知識豊かなトレーナーが手助けしてくれるでしょうし、努力と工夫次第では自分で解消することも可能です。いずれにせよ行動上の問題が出た場合には、まずどこに原因があるのかを探ることが大事です。1つの例として、家の前の道路を誰かが通り過ぎる度に吠えている犬がいたとします。窓越しに人の姿が見えることが刺激になっていたのかもしれません。犬からは道路を見えなくしてしまうこと、または道路が見えない部屋で生活させるようにすることで吠えが止まることもあります。どんな状況の時に、どんな条件が重なると問題が出るのか、よく考えてみることからまずは始めましょう。
もう1つ大事なのは、問題行動を引き起こす原因はいろいろ考えられるということです。もしかしたら、何かの病気が根底にあるのかもしれません。たとえば目がよく見えなくなっていたので、いきなり自分の前を通る人に対してカプッとしていたなど。健康面に何か問題はないかとチェックしてみることも忘れないでください。